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京都・炭山にある木工&陶芸の工房日記と放浪旅日記です。
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作業もそろそろ後半戦です。

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前につくった花や鳥のパーツをの配置を決めます。
ちょっとした場所の違いでイメージがずいぶん変わってしまうので、ずいぶん時間をかけて悩みました。


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配置が決まったらナイフやノミを使って、パーツを埋め込む部分の背景のベニアをはがしていきます。
ここは失敗がきかないので慎重に!


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はがした背景に膠を使って蔓のパーツを埋め込んだ所。
蔓、葉、花、鳥と、奥にあるものから1つ1つ順番に埋め込んでいきます。


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花や葉など大きなパーツの部分は、アイロンを使っていっきにはがします。
ナイフでアウトラインの切れ目を入れ、水をたっぷりしみこませたあとアイロンをあてると、びっくりするぐら簡単にはがれます。 熱というより、蒸気ではがす感じ。


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講習会は貴重な情報交換の場です。
接着待ちの間は、いろんな話に花が咲きました。 どんな塗料を使っているか、どこのメーカーの道具が良いか、どこで安い木が手に入るか、そんなことから環境問題、政治の話、奥さんの話。
どこの国でも、木工家の悩みはおんなじなんだな~ なんて。 だから多少言葉が通じなくても理解しあえるんでしょうね。
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ベースの合板に背景になるベニア(薄板)を接着します。
今回使うのはAnimal glue。 つまりにかわです。 オーストラリアや欧米でも、耐久性や扱いの不便さから、家具に膠を使うことはほとんどなくなっているようです。 でも、失敗しても温めるとやり直せる、補修がしやすい、何よりも人体に無害など見直す点は多いようです。


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粒状の乾燥した膠に水を加えメルティングポットで70度に温めて溶かします。
なんともいえない、動物性の匂いが漂います。 あまりいい匂いとは言いがたいですね。

私がバイトしているアンティーク家具店では、古い家具を直すときがちがちにこびりついた膠をアイロンで溶かしたり、グラインダーで削り落としたりするのですが、そりゃもうすごいにおいがします♪


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溶かした膠を接着面にたっぷり塗り、張り合わせたあと、ベニアハンマーという真鍮の板が先に付いた道具で余分な膠と空気を押し出します。
あまった膠は、熱湯で絞った布でふき取ります。


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引っ付かないようにラミネート加工された合板で当て木をしてクランプで締め付けます。 膠は冷えるとすぐに固まるので時間との勝負。
「こっち持って!」 「そっちおさえて~!」「クランプもう一本!」 と一騒動でした。



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クランプだらけ。 「木工家は、どれだけたくさん持っていても一生クランプが不足している。」 なんて格言があるそうですが・・・
この状態で、約15分放置。 


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ゴミ箱から膠の付いた木片を見つけてきて、うれしそうになめていた所を叱られ、ふてくされているオットー君。 ニカワってよっぽどおいしいみたいです。


 

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葉っぱと同じようにしてハチドリをつくっていきます。
図案が複雑になるほど、パーツとパーツの隙間なく切り出していくのが難しくなります。 目の周りなど何度切り直したことか・・・・
鳥の羽毛に見えるような木目を選んだり、配色を考えたりするのが面白かったです。


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講師のGeoff Hannah先生。 何やらお悩み中なようですが? 著名な方なのに、とても気さくで冗談ばかり言っているお茶目な方でした。 このごっつい指からどうやったらあんなに繊細な作品が出来上がるのか不思議でなりません。
ただ一つ困ったのが、この方のオーストラリア英語。 オーストラリア人も舌を巻くほどの生粋の田舎弁だったそうですが、最初の頃は本当に何を言っているのか全然解らなくて冷や汗をかきました。



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作業風景。
トレイシーの工房兼教室は、こんな感じのワークベンチが7,8台と大型の作業機械が一通りそろっていてうらやましい限りの環境でした。
平日の日中ということもあって、私以外の生徒さんはおじ様ばかり。 でも、木工にかける熱意はすごかったです。



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工房のもう一つの顔。 トレイシーの愛犬、オットーとパンザ。 
うちの犬は機械の音を嫌がるんですが、この子達は全然お構いなしで工房中を走り回ってました。 いたずらっ子が2人いるような感じです。



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3日かけてすべてのパーツが完成!





オーストラリアの木工作家 Geoff Hannah さんの象嵌クラスを受講してきました。
生徒は8人。 朝の9時から夕方4時まで1週間にわたって、伝統的な象嵌の方法を習いました。 私をはじめほとんどの人が象嵌は初体験でしたが、悪戦苦闘しつつも楽しい講習でした。

象嵌とは大雑把に言うと、薄い木の板を切り張りして絵を作る技術です。
昔から宝石箱やキャビネットの扉などの装飾に使われています。 日本語は「象嵌」「寄木」ですが、英語では"inlay" "marquetry" 線や幾何学模様が主なものをinlay、花や動物など具象的な図案を使ったものをmarquetryと呼ぶそうです。

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元になる木の薄板。 厚さ0.6ミリ。 模様も色もすべて自然のものです。 絵を描くとすれば絵の具に当たるんでしょうか、この模様と色をどれだけうまくつかって図案を表現するかが象嵌の醍醐味です。 日本では聞いたことの無いような木もたくさんありました。


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時間の都合もあって、全員が同じハチドリと花の絵を作りました。
まず図案のピースを、一つ一つ色や木目を考えながらカーボン紙を使って木の板に写していきます。


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転写したピースをデザインカッターで切り出していきます。
細かい作業なのでみんな真剣。 雑に作業するとすぐに木が割れてしまいます。
「Gently, gently! (優しく、優しく)」 が先生の口癖。


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ピースの境目に影をつけるため、熱した砂を使って木を焦します。
ここで使っているのはアルミの細かい砂。 十分に熱した砂をスプーンですくってその中に5秒ほどピースを漬けるとうまいこと端が焦げます。
ちなみに、直火に当てると瞬間で燃え尽きますのでご注意を;;;;


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上の作業を繰り返して創ったパーツをマスキングテープで仮止めしておきます。
一日かけてやっと数枚の葉っぱが出来上がりました。 


 

去年の旅日記もまだまだ途中なのですが、3月末から2週間ほどオーストラリアに木工三昧旅行(?)に行ってきたので、忘れないうちに書いておこうと思います。


きっかけは去年行ったスウェーデンのワークショップ。 そこで仲良くなったオーストラリアの木工家、トレイシー・ガムさんに彼女の主宰する木工教室のマスターコースに来ないかと誘ってもらったことでした。
普段はトレイシーが初心者を主に教えている木工教室ですが、年に何回かあるマスタークラスではプロの木工家や大学教授などを講師に招いて1週間技術を教えてもらえます。 その上、

「うちにただで泊まっていいよ~」

友人に「あんた、どんだけ腰が軽いん!?」と口をそろえて言われる私が、この話に飛びつかないはずがありません。 そんなわけで、あつかましくも2週間近く工房に居候させてもらい、講習を受け、いろんな家具工房や木工の学校に案内してもらいの、木工づくしの日々を過ごしてきました。


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トレイシーの工房のHPはこちら。



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かの有名なシドニー・オペラハウスの前からハーバーブリッジをバックに。 2週間以上シドニーにいてここに行ったのは帰る前の日。 会うオーストラリア人みんなに 「まだ見に行ってないの!?」 とつっこまれまくりでした。
 



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